「1万時間の法則」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。マルコム・グラッドウェルが著書『Outliers(天才!成功する人々の法則)』で発表し、認知されるようになりました。その分野の一流になるためには、1万時間の練習・訓練が必要だという考えを提唱しています。理論的にはいいのですが、私たちはこれを「デタラメ」と呼んでいます。確かに、多くの場合、技術を習得するためには練習が必要です。しかし、重要なのは練習の種類や質であり、単に何時間したかということではありません。

 

例えば、フラメンコギターをマスターしたいとしましょう。いいですね!野心的な目標です。高い目標を掲げるのはいいことですよね。初心者用フラメンコギターの本を見ながら部屋で一人で練習する12時間と、週一で資格を持った先生と1対1で練習する12時間とではどう違うと思いますか?同じではないでしょう。ましてや、人によって出発点が違うのですから。ボブはすでにフラメンコの経験があるかもしれないし、サンドラはどんな楽器でも弾きこなす才能があるかもしれない。アントニオは視覚と手の協調関係に問題があるかもしれません。上達するには、才能や一般的な練習以上のものが必要です。そこで必要になるのが「計画的練習」とその原理です。つまり、苦手な分野に磨きをかけ、アプローチを変え、進捗状況を把握して目標を設定し、フィードバックを求め、休息の時間を確保するのです。

 

磨きをかける

上記の例に続けると、あなたは何年もフラメンコギターをしていて、熟練のギターリストだとしましょう。ステキですね。しかし、向上の余地は必ずありますよね。読譜が苦手かもしれないし、指の動きの鈍さがネックになっているかもしれません。あるいは、ラスゲアード奏法を完璧にマスターできずに困っているかもしれません。自分が取り組むべき分野を明確にし、そこに集中して力を注ぐのです。THUトライブに置き換えると、遠近法、プロポーション、構図、色彩理論、スピード、リアルな解剖学的デザイン、スクリプト、コーディングなど、さまざまなオプションをより詳しく見ていくことになるでしょう。そして、これらの要素については、できる限り小さな構成要素に分解し、そこから始めることを忘れないでください。気が散って、すでに得意なものを練習したくなる気持ちはよくわかります。しかし、それでは自分が最も成長すべき分野を克服することはできません。自分と正直に向き合い、実際に改善したいところに注意を向けましょう。

 

適応

コードを切り替えるときの指の動きを重点的に練習したいことがわかったとします。その部分だけ集中して繰り返してみましたが、進歩が見られません。では、どうしますか?アプローチを変え、別の方法を試してみましょう。例えば、指の動きがネックとなっている場合は、よりシステマチックに技術を向上させる方法を考えてみましょう。習っている先生に相談し、徐々に複雑な練習をしたり、ある分野に集中するために、何週間も曲を演奏しないのもいいかもしれません。誰もこの「計画的練習」が楽しいとは言っていません。適切に行えば効果的だと言っているのです。また、人は同じではないので、あなたに効果があるものが他の人にも効果があるとは限りません。あなたの場合は、指の力を鍛える必要があるかもしれません。もしかすると、ゲーミフィケーションによるトレーニングの方が向いているかもしれません。今やっているアプローチが自分に合わない場合は、新しい選択肢を模索してください。しかしあきらめる前に、実際にそのアプローチをきちんと試しているかどうかも確認してください。

 

目標設定と進捗管理

自分で練習スケジュールを決めてそれを守り、今では12種類のコードを簡単に切り替えられるようになりました。素晴らしいですね。でも、そこで終わってはいけません。目標を達成したら、もう少し自分を追い込んでみましょう。この分野でもっとできることはないですか?もっと早く、もっと高い頻度でコードを切り替えるような曲を試してみるとか、あるいは12種類のコードはマスターしたので、さらに他のコードにトライしレパートリーを増やしてみるとか。練習するたびに、難易度を少しずつ上げていくことが大切です。また代わりに、その分野でマスターしたいことがすべてできたなら、次の分野に移るのもいいでしょう。一流になるためには、常に改善点を探し、積極的に自分を高めていくことが必要です。これまでに達成したことに満足して、それに甘んじたいのであれば、それも選択肢のひとつです。ただ、行き詰まっている事実を嘆いてはいけません。現状を維持するか向上するかは、あなた次第です。

 

外部からのフィードバック

外部と遮断して自分のスキルに取り組むことは、効果的です...あるポイントまでは。確かに、今の私たちはインターネットで豊富な参考資料や知識を手に入れることができますし、また過去の作品を振り返り、どこが改善されたかを確認することもできます。しかし、それはすべて自分の基準や主観に基づいたものです。先生やトレーニング、メンターシップなど、外部の視点を求めることで、自分の盲点を知ることができます。そして、スキルを次のレベルへと向上させることができるのです。

 

一休み

一流になるために、起きている間中ずっと「計画的練習」をしているわけにはいきません。それは、実現可能でも効果的でもありません。効果的な計画的練習に必要な注意力と集中力のレベルは、長時間にわたって維持することはできません。ですから、時間を賢く使いましょう。練習の間隔を空け、効率的な分数でスケジュールを組み、練習するときは本気で練習しましょう。しかし、成功のためには休息と睡眠が不可欠であることも忘れてはなりません。休んでいる間も、頭の中では情報が処理、整理されています。まだまだ成長に貢献しているのです。計画的練習と並行して、心と体をリラックスさせることは、求めていた結果を得る手助けとなります。

 

ファーナム・ストリートによる素晴らしい記事では、「計画的練習」の起源、方法論、要素を詳しく説明しており、とても的確に示されています。「計画的練習」は、困難かつ違和感のあるものです。自分の弱い分野をターゲットにし続け、苦手なことに時間を費やすのですから、その時はとても惨めな気分になります。しかし、上達への最短ルートは、自分のコンフォートゾーンから一歩踏み出すことなのです。それこそが、私たちが皆さんにチャレンジしてほしいことなのです。コンフォートゾーンを飛び出し、改善点に光を当て、真っ先に飛び込んでみてください。先に進むもうではありませんか。

 

特定の技術をマスターしたり、スランプを克服し、積極的に能力を発揮したいのであれば、計画的練習はとても有効です。しかし人生には、純粋に楽しむためにすることもあります。海辺を散歩したり、ナプキンに落書きをしたり、バスを待つ間にドラマの主題歌を口笛で吹いたり。こういったことをする際、上達を考えて行なっているわけではないでしょう。少なくともがむしゃらには。人生すべての局面で、計画的練習が必要なわけではありません。自分の目的を明確にした上で、その目的にあったテクニックを使うことが大切なのです。